📋 スタッフからひとこと — 山田敬一(葬儀映像演出 25年)

葬儀での映像演出に25年間携わってきた私は、メモリアルムービーが持つ力をずっと信じてきました。スクリーンに映し出された故人様の笑顔が、悲しみに沈む会場の空気をそっと温かくする——その瞬間を、何度も目にしてきたからです。この記事が、大切な方を送り出す準備をされているあなたの、小さな力になれれば幸いです。
故人との思い出を振り返り、参列者の方々と分かち合う葬儀スライドショーは、故人様への最後の贈り物であり、非常に大切な時間です。しかし、そのテロップに不適切な言葉、いわゆる「忌み言葉」や「不吉な言葉」が使われていると、意図せず故人やご遺族、参列者の皆様に不快な思いをさせてしまう可能性があります。
本記事では、葬儀スライドショーを作成する際に避けるべきNGワードを一覧でご紹介し、適切な代替表現や例文を解説します。故人への敬意と参列者への配慮を忘れず、心温まるスライドショーを作成するための一助となれば幸いです。
はじめに:葬儀スライドショーで「NGワード」を避ける重要性
葬儀スライドショーは、故人様の生前の姿を映し出し、その人生を振り返る感動的な演出です。写真とともに流れるメッセージは、故人様への感謝や愛情を伝える大切な言葉となります。だからこそ、その言葉選びには細心の注意を払う必要があります。
不適切な言葉が使われていると、せっかくの感動的な演出が台無しになってしまうだけでなく、参列者の方々に不快感を与えたり、故人様への敬意を欠いてしまったりする恐れがあります。言葉一つで、スライドショーが与える印象は大きく変わることを心に留めておきましょう。
故人への敬意と参列者への配慮
葬儀の場は、故人様との最期の別れを惜しみ、安らかな旅立ちを願う厳粛な場所です。また、悲しみに暮れるご遺族や参列者の皆様の心情に寄り添うことが何よりも大切です。スライドショーのテロップは、故人様への最後のメッセージであると同時に、参列者の方々への配慮を示すものでもあります。
特に、葬儀の場では「不幸が繰り返す」「死を連想させる」といった意味合いを持つ言葉は避けるのがマナーとされています。これらの言葉を「忌み言葉」と呼び、使用しないよう配慮することが、故人様への敬意と参列者への思いやりを示すことにつながります。
葬儀で避けるべき「忌み言葉」とは?主な種類を解説
「忌み言葉」とは、冠婚葬祭などの特定の場面で使うことが望ましくないとされる言葉の総称です。葬儀においては、主に以下の二つの種類があります。
- 重ね言葉(繰り返し言葉):不幸が重なる、繰り返すことを連想させる言葉
- 不吉な言葉(直接的な表現、死を連想させる言葉):死や不幸を直接的に示したり、それを連想させたりする言葉
「重ね言葉」がNGとされる理由
「重ね言葉」とは、「たびたび」「重ね重ね」「くれぐれも」「また」といった、同じ意味を繰り返す言葉や、繰り返しを意味する言葉を指します。葬儀の場においてこれらの言葉がNGとされるのは、「不幸が重なる」「不幸が繰り返す」ことを連想させるためです。
故人様との別れという一度きりの悲しい出来事が、二度と起こらないようにという願いが込められています。無意識に使ってしまいがちなので、特に注意が必要です。
「不吉な言葉」がNGとされる理由
「不吉な言葉」とは、「死ぬ」「死亡」「苦しむ」「消える」「終わる」など、死や不幸を直接的に表現したり、それを連想させたりする言葉です。また、「とんでもない」「大変なことになった」といった、悲しみを助長するような表現も避けるべきとされています。
これらの言葉は、故人様やご遺族の感情を刺激し、悲しみを深めてしまう可能性があります。故人様への穏やかな旅立ちを願い、参列者の皆様の心を慮る意味でも、より穏やかで間接的な表現を選ぶことが求められます。
【一覧】葬儀スライドショーでNGな「重ね言葉」と代替表現
ここでは、葬儀スライドショーのテロップで避けたい「重ね言葉」と、その具体的な代替表現を一覧でご紹介します。例文も参考に、より適切な表現を選びましょう。
| NGワード(重ね言葉) | NGとされる理由 | 代替表現・修正案 | 修正前(NG例) | 修正後(OK例) |
|---|---|---|---|---|
| たびたび | 不幸が重なることを連想 | よく、しばしば、何度も | たびたびお世話になりました | 生前はひとかたならぬご厚情を賜り、心より感謝申し上げます |
| 重ね重ね | 不幸が重なることを連想 | 深く、改めて、改めて | 重ね重ねお礼申し上げます | 心より感謝申し上げます |
| くれぐれも | 不幸が重なることを連想 | どうぞ、何卒、十分に | くれぐれもご無理なさらないでください | どうぞご自愛ください |
| また、再度、再び | 不幸が繰り返すことを連想 | 改めて、改めて、重ねて | また会える日を楽しみに | いつか、再会を願って |
| 次々、ますます、いよいよ | 不幸が続くことを連想 | (状況に応じて表現を工夫) | 次々と新しいことに挑戦しました | 常に新しいことに挑戦し続けました |
| 追って、続いて | 不幸が続くことを連想 | 後ほど、後日、その後 | 追って詳細をご連絡します | 後日改めてご連絡させていただきます |
「重ね言葉」具体例と修正案
- NG例:「父はたびたび旅行に連れて行ってくれました。」
- OK例:「父はよく旅行に連れて行ってくれました。」
- NG例:「重ね重ねお礼申し上げます。」
- OK例:「心より感謝申し上げます。」
- NG例:「また皆で集まりたかったね。」
- OK例:「いつか皆で集まりたかったね。」
【一覧】葬儀スライドショーでNGな「不吉な言葉」と代替表現
次に、葬儀スライドショーのテロップで避けたい「不吉な言葉」と、その代替表現を一覧でご紹介します。直接的な表現を避け、より穏やかな言葉を選びましょう。
| NGワード(不吉な言葉) | NGとされる理由 | 代替表現・修正案 | 修正前(NG例) | 修正後(OK例) |
|---|---|---|---|---|
| 死ぬ、死亡 | 死を直接的に表現 | ご逝去、他界、永眠、旅立つ、亡くなる | 〇〇さんが死亡しました | 〇〇さんがご逝去されました |
| 生きる、存命中 | 故人の生前を直接的に表現 | 生前、ご存命の頃、お元気な頃 | 生きている頃の思い出 | 生前の思い出 |
| 苦しむ | 故人の苦痛を連想 | ご病気と闘う、つらい闘病生活 | 病気で苦しんでいました | ご病気と懸命に闘われました |
| 消える、終わる | 存在の消滅や終焉を連想 | 安らかに眠る、静かに幕を閉じる | 〇〇さんの人生が終わりました | 〇〇さんの人生に静かに幕が下ろされました |
| とんでもない、大変なことになった | 悲しみを助長する、混乱を招く | 突然のことで、驚いております、信じられない思いです | とんでもないことになりました | 突然のことで、ただただ驚いております |
| 迷う、うかばれない | 故人の魂の安寧を乱す表現 | 安らかな旅立ち、心安らかに | 迷わず成仏してください | 安らかに旅立たれますようお祈りいたします |
「不吉な言葉」具体例と修正案
- NG例:「父が死んでしまい、寂しいです。」
- OK例:「父が永眠し、寂しい気持ちでいっぱいです。」
- NG例:「生きているうちに、もっと親孝行したかったです。」
- OK例:「生前、もっと親孝行したかったです。」
- NG例:「大変なことになりましたが、安らかにお眠りください。」
- OK例:「突然のことで信じられない思いですが、安らかな旅立ちを心よりお祈りいたします。」
宗教・宗派による追加の注意点
忌み言葉とは少し異なりますが、宗教・宗派によっては特定の言葉が不適切とされる場合があります。
- 仏教以外の場合:「ご冥福をお祈りします」「成仏」「供養」といった言葉は、仏教用語です。神道やキリスト教、無宗教の葬儀では使わないのが一般的です。
- 代替表現:「安らかなお眠りをお祈りいたします」「心よりお悔やみ申し上げます」など
- 神道の場合:「ご愁傷様です」は仏教的な響きがあるため、避ける人もいます。
- キリスト教の場合:「天国での再会を信じて」といった表現は一般的ですが、宗派によって違いがあるため、事前に確認するとより安心です。
故人様のご家族が信仰されている宗教・宗派が不明な場合は、一般的なお悔やみの言葉を選ぶか、事前にご遺族に確認することをおすすめします。
スライドショーのテロップ作成時に最終確認すべきこと
スライドショーのテロップを作成したら、公開前に必ず以下の点を確認しましょう。
- 忌み言葉・不吉な言葉が使われていないか:本記事の一覧を参考に、一つひとつ丁寧にチェックしてください。
- 誤字脱字がないか:故人様への最後のメッセージですので、誤りがないように複数人で確認すると安心です。
- 写真との関連性:テロップが写真の内容と合っているか、不自然な箇所はないか確認します。
- メッセージの長さ:短すぎず長すぎず、写真の切り替わりに合わせて読みやすい長さに調整しましょう。
- 全体的なトーン:故人様への感謝や愛情が伝わる、温かいトーンになっているかを確認します。
自然で心温まるメッセージにするためのヒント
忌み言葉を避けるだけでなく、故人様への思いが伝わる、心温まるメッセージにするためのヒントをいくつかご紹介します。
- 具体的なエピソードを添える:「いつも笑顔で迎えてくれた」「一緒に〇〇に行った思い出が忘れられません」など、故人様との具体的な思い出を短く添えることで、よりパーソナルで心に響くメッセージになります。
- 感謝の気持ちを伝える:「本当にありがとうございました」「感謝しかありません」など、故人様への感謝の気持ちをストレートに伝えましょう。
- 未来への希望や誓いを語る(故人への誓いとして):「〇〇さんの教えを胸に、これからも頑張ります」など、故人様が残してくれたものを受け継ぎ、前向きに進む姿勢を示す言葉も良いでしょう。
- 簡潔に、しかし心を込めて:長文にする必要はありません。短い言葉でも、心を込めることでその思いは伝わります。
例文で学ぶNGワード回避術
具体的なメッセージ例で、NGワードを回避しつつ、より良い表現にする方法を見てみましょう。
- NG例:「たびたびお世話になり、本当にありがとうございました。また会いたかったです。」
- OK例:「生前はひとかたならぬご厚情を賜り、心より感謝申し上げます。いつか、再会を願って。」
- NG例:「大変なことになりましたが、どうか安らかに死んでください。」
- OK例:「突然のことで、ただただ驚いております。どうか安らかに旅立たれますようお祈りいたします。」
- NG例:「病気で苦しむ姿を見るのは辛かったですが、終わってホッとしています。」
- OK例:「病と懸命に闘う姿は、私たちに多くの勇気をくれました。今はただ、安らかなお眠りをお祈りするばかりです。」
まとめ:故人を偲ぶ気持ちを込めたスライドショーのために
葬儀スライドショーは、故人様への最後のメッセージであり、ご遺族や参列者の皆様の心に残る大切な時間です。本記事でご紹介した忌み言葉や不吉な言葉を避け、故人様への敬意と参列者への配慮を忘れずに、言葉選びには細心の注意を払いましょう。
言葉一つで、スライドショーが与える印象は大きく変わります。故人様との美しい思い出を振り返り、感謝の気持ちを伝える、心温まるスライドショーを作成できるよう、この記事が皆様のお役に立てれば幸いです。故人様への深い愛情と感謝を込めて、最高の送り出しをして差し上げてください。
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