📋 スタッフからひとこと — 山田敬一(葬儀映像演出 25年)

BGM選びは、本当に難しいのです。何百回と葬儀の映像演出を担当してきた私でも、毎回悩みます。同じ曲でも、選ぶ写真との組み合わせ次第で、受ける印象がまるで変わる。それほどBGMは大切な要素です。著作権の問題とあわせて、この記事で丁寧に解説しますね。
大切な方を亡くされた今、心よりお悔やみ申し上げます。
故人様への最後の贈り物として、どのような音楽をお選びになるか、お悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。特に、純和風の葬儀を希望される方や、着物や日本文化を深く愛された故人様のために、演歌ではない「和」の情緒を感じさせる音楽を探している方も少なくありません。
この記事では、琴や尺八などの和楽器が奏でるインストゥルメンタル曲に焦点を当て、故人様を心安らかにお見送りするための音楽選びのヒントをご紹介します。心温まる、そして厳かな和の調べが、故人様への感謝と追悼の気持ちを深める一助となれば幸いです。
純和風葬儀にふさわしい音楽とは?
故人を偲ぶ「和」の調べを選ぶ理由
故人様が日本文化を愛し、和装を好まれた方であれば、葬儀の場にも「和」の要素を取り入れたいと願うのは自然なことです。日本の伝統楽器が奏でる調べは、その音色自体に厳かさ、静謐さ、そして奥ゆかしい美しさを宿しています。
琴の清らかな響きや尺八の深遠な音色は、故人様の人生観や美意識を尊重し、参列者の方々にも心穏やかな追悼の時間を提供してくれるでしょう。西洋音楽とは異なる独特の音階や間合いが、日本の自然や精神性を感じさせ、故人様との思い出を静かに反芻するのにふさわしい空間を創り出します。
演歌ではない、心安らぐインストゥルメンタル
故人様が生前、日本の音楽を好まれていたとしても、葬儀の場では演歌のような歌入りの楽曲は、感情表現が強すぎると感じる方もいらっしゃるかもしれません。歌声や歌詞は、特定の感情を強く呼び起こすため、人によっては故人様との別れを悲しむ気持ちを増幅させてしまう可能性もあります。
その点、インストゥルメンタル(歌なしの演奏曲)は、感情に直接訴えかける度合いが穏やかで、聴く人それぞれの心の中で故人様を偲ぶ余白を与えてくれます。特に琴や尺八のインストゥルメンタルは、静かで瞑想的な雰囲気を醸し出し、故人様への静かな祈りや感謝の気持ちを伝えるのに最適です。心安らぐ音色が、故人様とのお別れの時間を優しく包み込んでくれるでしょう。
琴・尺八が奏でる、葬儀に最適な和風インスト曲選
ここでは、琴や尺八が主役となる、葬儀の場にふさわしい和風インストゥルメンタル曲の例をご紹介します。伝統的な古典曲から、現代的な解釈の楽曲まで、故人様のイメージに合う一曲を見つける参考にしてください。
琴の音色が故人を優しく包み込む名曲
琴の音色は、清らかで繊細、そしてどこか懐かしさを感じさせます。故人様を優しく見送るような、穏やかな楽曲がおすすめです。
- 「六段の調(ろくだんのしらべ)」:箏曲の代表的な古典曲。雅やかで美しい旋律は、静かに故人を偲ぶ時間に寄り添います。
- 「春の海」:宮城道雄作曲の有名な曲ですが、全体ではなく一部を抜粋したり、ゆったりとしたアレンジを選ぶと、より葬儀の雰囲気に合うでしょう。
- 現代の琴曲:伝統的な曲だけでなく、現代の琴奏者や作曲家による、静かで叙情的なオリジナル曲も選択肢になります。
尺八の深遠な響きが故人を送る一曲
尺八の音色は、深みがあり、時に寂寥感を伴いつつも、故人様を厳かに送り出す精神性を感じさせます。
- 「鹿の遠音(しかのとおね)」:尺八古典本曲の中でも特に有名な曲。二管の尺八が奏でる、遠く響き渡るような音色が、故人様との別れを深く印象付けます。
- 「虚空(こくう)」:虚無僧が吹いたとされる本曲の一つ。瞑想的で静謐な響きは、故人様の安らかな旅立ちを願う気持ちに寄り添います。
- 現代の尺八曲:伝統を大切にしつつも、現代的な感性で作曲された尺八ソロ曲や、ヒーリング系の楽曲も探してみる価値があります。
琴と尺八のアンサンブルが織りなす厳かな調べ
琴と尺八のアンサンブルは、それぞれの楽器の良さが調和し、より豊かな表現と荘厳な雰囲気を作り出します。
- 「千鳥の曲」:古典曲の中でも人気の高い作品。琴と尺八が織りなす優雅で美しい旋律は、故人様への感謝の気持ちを静かに伝えます。
- 現代の和楽器ユニット曲:和楽器を主体としたユニットやグループが発表している、静かで美しいインストゥルメンタル曲も多数あります。伝統と現代が融合した新しい「和」の調べは、故人様の多様な側面を表現するのに役立つかもしれません。
現代の作曲家による和風インスト曲の選択肢
伝統的な古典曲だけでなく、現代の作曲家やアーティストが生み出す和風インストゥルメンタル曲にも目を向けてみましょう。著作権フリーの音源サイトや、和楽器フュージョン、ニューエイジ系のジャンルには、葬儀にふさわしい、心安らぐ楽曲が多数存在します。
- 著作権フリー音源サイト:商用利用可能な無料音源サイト(例:DOVA-SYNDROME、H/MIX GALLERYなど)には、和風のBGM素材が豊富にあります。「琴」「尺八」「和風」「静か」などのキーワードで検索してみてください。
- 和楽器フュージョン・ニューエイジ:伝統的な和楽器の音色を基盤に、現代的なアレンジや他のジャンルの要素を取り入れた楽曲は、故人様がモダンな感性をお持ちだった場合にも適しています。
以下に、各楽器の音色と葬儀での印象をまとめた表をご用意しました。
| 楽器 | 特徴的な音色 | 葬儀での印象 | 適したシーン |
|---|---|---|---|
| 琴 | 清らか、繊細、優雅、余韻が長い | 穏やか、故人を優しく包み込む、品格 | 献花、お別れの儀、静かなBGM、故人紹介 |
| 尺八 | 深遠、瞑想的、寂寥感、力強さ、精神性 | 厳か、故人を送り出す、奥ゆかしい | 読経中(BGMとして)、出棺、静かな瞑想の時間 |
| 琴と尺八のアンサンブル | 豊か、調和、荘厳、奥行き | 故人への敬意、品格、深い感動 | セレモニー全体、故人紹介、エンディング |
和風インスト曲を選ぶ際のポイント
落ち着きと品格を保つ選曲基準
葬儀の音楽は、故人様への敬意と、参列者の方々が落ち着いて故人様を偲べる環境を最優先に考えるべきです。
- テンポ:ゆったりとした、穏やかなテンポの曲を選びましょう。速すぎたり、リズムが強調されすぎたりする曲は避けるのが賢明です。
- メロディ:耳障りでない、穏やかで美しいメロディラインを持つ曲が適しています。繰り返しが多い曲や、派手な展開の曲は避けた方が良いでしょう。
- 音色:琴や尺八の持つ自然で清らかな音色が活かされている曲を選びましょう。過度なエフェクトや加工が施されたものは、葬儀の厳かな雰囲気にそぐわない場合があります。
故人の人柄や趣味を反映させるヒント
故人様が生前、どのような方だったのか、どのようなものを愛されていたのかを思い出しながら選曲することも大切です。
- 自然を愛した故人様へ:日本の四季や美しい風景を連想させるような、叙情的な琴や尺八の曲。
- 伝統文化に親しんだ故人様へ:茶道、華道、書道など、故人様が親しんだ文化の背景にある精神性に通じるような、古典的で静謐な楽曲。
- 旅を好んだ故人様へ:旅立ちを思わせるような、穏やかでありながらも希望を感じさせるような曲。
故人様の人柄や趣味を反映させることで、音楽がより一層、故人様への深いメッセージとなり、遺族の方々の心にも響くことでしょう。
著作権と音源の準備について
葬儀で音楽を流す際には、著作権に関する配慮と、音源の準備が重要です。
- 著作権:市販のCDやダウンロードした楽曲を葬儀会場で流す場合、原則として著作権使用料が発生します。多くの葬儀社はJASRAC(日本音楽著作権協会)と包括契約を結んでいるため、通常は葬儀社が対応してくれますが、念のため事前に確認しましょう。
- 著作権フリー音源:前述した著作権フリーの音源サイトを利用すれば、著作権使用料を気にせず使用できます。ただし、利用規約は必ず確認してください。
- 音源形式:CD、USBメモリ、SDカードなど、葬儀会場の音響設備に対応した形式で音源を準備しましょう。念のため、複数の形式で用意しておくと安心です。
- バックアップ:万が一のトラブルに備え、選んだ楽曲のバックアップを必ず取っておきましょう。
葬儀で音楽を流す際の注意点
葬儀社や会場との事前相談の重要性
選んだ楽曲をスムーズに流すためには、葬儀社や会場との綿密な事前相談が不可欠です。
- 音響設備の確認:会場にどのような音響設備があるか、持参した音源を再生できるかを確認します。
- 再生タイミング:どのタイミングでどの曲を流したいか、具体的な指示を伝えておきましょう(例:開式前、献花時、出棺時など)。
- 音量の調整:音楽はあくまでBGMであり、主役は故人様と参列者の追悼の気持ちです。適切な音量についても相談しておきましょう。
- 持ち込みの可否:ご自身でCDや音源を持ち込む場合、その可否や手続きについて確認します。
音量の調整と参列者への配慮
音楽は、参列者の方々が故人様を静かに偲べるよう、控えめな音量で流すことが大切です。
- BGMとしての役割:音楽は主役ではなく、空間を彩り、感情を穏やかにサポートするBGMとしての役割を果たします。会話や読経の邪魔にならないよう、音量には細心の注意を払いましょう。
- 参列者の感情:音楽の好みは人それぞれです。特定の感情を強く刺激するような楽曲は避け、多くの参列者が心地よく感じられるような、普遍的で穏やかな曲を選ぶのが望ましいです。
- 試聴:可能であれば、事前に会場で音量を試聴し、適切なバランスを確認しておくと安心です。
まとめ:故人への最後の贈り物としての音楽
故人様への最後の贈り物として選ぶ音楽は、深い感謝と愛情を伝える大切な手段です。純和風の葬儀において、琴や尺八が奏でるインストゥルメンタル曲は、その厳かで心安らぐ音色で、故人様の安らかな旅立ちを願い、遺族の方々の心に静かに寄り添ってくれるでしょう。
故人様の人柄や趣味を思い起こしながら、心ゆくまで選曲すること。そして、葬儀社と密に連携し、著作権や音源の準備、音量調整といった細部にまで心を配ることで、故人様にとっても、そして参列される皆様にとっても、心に残るお見送りの時間となるはずです。
この情報が、大切な故人様をお見送りする一助となれば幸いです。心より、故人様のご冥福をお祈り申し上げます。
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